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Last updated on 9 November 2021
妊娠中の体は、健康を気遣い過ぎるという事はない、と言われるほどに、小さな影響も受けやすくなっています。これが、妊娠中にCBDを使用する事への賛否が分かれている理由なのかもしれません。妊娠は、女性の一生の中で最も素晴らしい経験の一つではありますが、それと同時に、最も痛く辛い体験でもあります。そしてそれに伴ってさまざまな症状も引き起こされます。代表的な症状には、吐き気、片頭痛などの身体的なものから、不安障害、うつ病なども精神的なもおまで、多岐に渡ります。
妊婦はカンナビスを使用しても大丈夫?
多くの人は、アサ草とヘンプを混同して覚えてしまっています。どちらもカンナビス科の植物であることは間違いありませんが、摂取した時に現れる効果は大きく異なります。その大きな要因は、アサ草に多く含まれる、THCと呼ばれる向精神作用を引き起こす成分にあります。一方ヘンプは、THCの含有量が極めて少ないことに加え、体内のあらゆる機能を調節し、不調を改善してくれるカンナビノイドが多く含まれています。ヘンプから抽出されるCBDには、うつ病をはじめとする多くの病気を改善する効果があることが、研究で明らかになっています。1
また、前述の通りTHCが0.3%以下と極めて少ないため、摂取してもハイになることはなく、安全性の高さからほとんどの国で合法的に使用する事ができ、高齢者やペットにも安心してお使いいただけます。
CBDとは?
原料となるカンナビス・サティバと呼ばれる植物には、2種類の有効な主成分があり、それぞれが独自の治療効果を持っています。その一つであるTHC(テトラヒドロカンナビノール)は、精神活性作用をもたらすカンナビスの成分として有名なカンナビノイドです。一方、CBD(カンナビジオール)は、そうした「ハイ」な状態をもたらす様な作用はなく、その代わりに数え切れないほどの薬効があり、極めて治療効果の高い成分と言われています。カンナビス製品を利用するにあたってTHCの有害性やリスクを知ることは非常に大事ですが、同時に、CBDの様に安全で副作用の少ない成分があることも知る必要があります。カンビナスは危険、といった長年の誤解や誤認識り改善されていかない限り、CBDの本来の力が広く知れ渡っていく将来は期待できないでしょう。
CBDについてわかっていること
妊娠は感動的で喜ばしい出来事ですが、母親と生まれてくる子供の体は脆弱で、さまざまな健康リスクにさらされてしまう時期でもあります。このため、こうした時期における摂取はリスクが大きすぎるという反対の声も少なくありません。また、CBDの妊婦に及ぼす影響についてまだ十分な研究がなされていないため、控えたほうがいいという意見もあります。一方で、実際にCBDを使用しているユーザーからは、CBDによって痛み、不安、うつなどの症状を和らげる事ができたという経験から、妊婦への使用を支持する声が上がっています。彼らの主張としては、CBDはほとんどの処方薬に比べてリスクの少ない天然由来の成分であるため、副作用の大きい医薬品よりもはるかに妊娠中の女性と胎児への影響は少ないという事です。
米国産科婦人科学会(ACOG)は、妊娠中の女性と授乳中の母親にはカンナビス製品の使用を中止するようにと、明確に勧告を発表しています。この勧告の主な理由としては、最近の研究によりカンナビスの成分が胎児の脳内で神経細胞の発達を促し、脳の経路を構築するエンドカンナビノイドシステムに悪影響を及ぼすことが明らかになったからだとしています。モンテフィオーレ病院ファミリーケアセンターのメディカルディレクターであるタリサ・L・バーニー博士は、CBDの健康上の利点は疑いようがなく、妊婦に対しても同じ様に高い治療効果が認められている、それにも関わらず、米国産科婦人科学会がCBDの使用を推奨していないのは、政府の規制が十分になされていないからだ、と主張しています。その一方で、決められた用量や処方を定める事が難しいCBDは、不適切な量の摂取をするリスクがあるとも述べています。
妊娠中にCBDオイルを摂取してもいいですか?
妊娠中のCBDオイルの使用に関する臨床研究データは今のところありません。したがって、妊娠中の女性がCBDを使用することは、基本的にお勧めしません。どうしても使用してみたい、という方は、必ず医療機関で相談してください。
妊娠に対するエンドカンナビノイドシステムの役割
エンドカンナビノイドシステムは、胎児の脳内でニューロンを作り、脳のネットワークを構築します。このように、胚の段階から出産直前まで重要な役割を果たしているエンドカンナビノイドですが、出産結果の面においてマイナスに働いたという事例は一つも報告されていません。また、妊娠中のカンナビス使用が早産や流産、または大きな身体的異常をもたらすことはないという事が、研究で明らかになっています。
妊娠中にCBDを摂取する上での注意点
本章では、すでに医療機関に相談した上で妊娠中にCBDを摂取することを決めている方のために、いくつか押さえておくべきポイントをご紹介します。
CBDには、微量でも胎児に影響を与える恐れのあるTHCやその他の有害物質が混入している可能性はゼロではありません。そのため、体内への吸収率が高いVAPEなどによる吸入摂取は避けたほうがいいでしょう。
最も安全にCBD摂取する方法としては、スポイト付きオイル、ペースト状、カプセル、ローションなどの形で提供されている純度100%のCBDオイルを、それぞれの用法で摂取・使用する事です。また、体や筋肉に痛みがある場合は、CBDのクリームやオイル、ローションなどを患部に塗る事で素早く痛みを緩和する事ができます。
妊娠とCBDに関する研究で明らかになったこと
妊娠中のCBD使用に関する研究はそれほど多くはありませんが、いくつかの研究で、重要な事実が明らかになりました。そのうちの一つに、CBDが妊娠中の母親の早産を抑止するのに有効であることを示した研究があります。2
2016年、シャンヤ・コナ博士は、赤ちゃんの産後発育の合併症にカンナビスがどう影響を及ぼすのかを調べた複数の研究を行いました。その結果、シャンヤ博士率いる研究チームは、カンナビスを単独で使用しても、出産時の合併症や発達上の問題が起こらないことを明らかにしました。
また、1980年代にメラニー・ドレーハー博士によって行われた2つの縦断研究では、胎内でカンナビス成分を取り入れた胎児は、生後3日目と5歳になってからの検査の両方で、結果に大きな差が見られなかった事がわかりました。
メディカル・マリファナ社の社長であり、この分野の研究者であるスチュアート・タイタス博士は、妊娠中にCBDオイルを使用した女性を調査したところ、これまで有力とされていた一般的な意見に反して、生まれた子供達は極めて健康で元気に成長していると語っています。
まとめ
妊娠中にCBDを使用する事で、妊婦と胎児に悪影響を及ぼすことはない事を示した研究はありますが、使用を決断する前に、この問題に詳しい医療機関や専門医に相談することを強くお勧めします。また、現段階では妊娠中のCBDオイルの使用に関する臨床研究データは十分に揃っておりません。そのため、妊娠中の場合は専門家の指導を受けるか、CBDの使用を控えましょう。
参考文献
- Kogan, N. and Mechoulam, R. (2007). Cannabinoids in health and disease. Dialogues in Clinical Neuroscience, 9(4), pp.413–430. [↩]
- Houlihan, D., Dennedy, M. and Morrison, J. (2010). Effects of abnormal cannabidiol on oxytocin-induced myometrial contractility. REPRODUCTION, 139(4), pp.783-788. [↩]
Author
With close to two decades of successful stint in the Media industry, I felt I was surely missing a piece in my life puzzle. I took a break and set out to seek the purpose of my life. I travelled, lived out of a suitcase, let things flow into life without resisting, and after five challenging years, I found my rhythm. I love to write about Cannabis and Health and try my best to simplify esoteric concepts into simple ideas for life.